高山善広「うるせえな!仕方ねえやつだな。次は気をつけろよ」
9月13日、日刊スポーツより発行された記事「忘れられない…高山善広から取材中食らったエルボー」を読んでの感想を書きたいと思います。
素晴らしい記事!
忘れられない…高山善広から取材中食らったエルボー
かつて格闘技を取材していた記者にとって、やり切れない知らせが届いた。プロレスラー高山善広さん(50)が、5月に試合で痛めた頸椎を完全損傷し、現状で回復の見込みがないことが、DDTプロレスが開いた会見で明らかになった。意識ははっきりしており、呼吸もできているが、首から下の感覚がないのだという。あまりにショックだ。
格闘技取材歴は3年ほどだったが、高山さんとは忘れられない思い出がある。09年6月、後楽園ホールでの大会でのことだった。プロレス界には当時、激震が走っていた。ノアの三沢光晴さんが、試合中の事故で頸椎を離断し、亡くなったのだ。プロレス界が誇るカリスマの、あまりに急すぎる死。それからしばらくは、レスラー仲間の反応を取ることが、記者としての大事な任務になっていた。
その日は、三沢さんの死後、高山さんが東京で行う最初の試合だった。駆けつけた全メディアの目的は同じだったが、誰も「その件」について聞こうとしない。尻込みしていたのは明らかだった。仕方ない。意を決して、高山さんに質問した。「三沢さんが亡くなりましたが…」。
返ってきた答えは…いや、それは「言葉」だけではなかった。「うるせえな!」吐き捨てた言葉とともに、強烈な右エルボーが記者の首を直撃した。196センチの巨体から、怒りとともに繰り出される攻撃に、普通の男が耐えられるわけがない。手に持っていたICレコーダーとともに、思いきり吹っ飛ばされた。
最悪なことを、最悪なタイミングで聞いた。命をかけて日々、リングに立っている選手たちにとっては、最もナーバスな問題。しかも、試合後で興奮状態にあるわけだから、怒るのも当たり前だ。選手の気持ちを取るか、読者の「知る権利」を取るか、二択に迫られた結果、記者は後者を取った-と言えば聞こえがいいかもしれないが、取材対象の気持ちに配慮できなかった、ただの人でなしと言われても仕方ないだろう。
記者として、最良の選択は何だったのか? その前に、1人の人間として取るべき行動は何だったのか? どんな取材現場に行っても、どれだけキャリアを積んでも、この日の高山さんとのやりとりは、トラウマのようによみがえる。結局、高山さんの気持ちを踏みにじった上に、読者にも情報を届けられなかったわけだから、記者の選択は間違いだったのだろう。
後日、高山さんには丁重におわびした。「配慮のないことを聞いて、すみませんでした」。試合前、リングサイドでストレッチをしながら、高山さんは声を荒らげることなく、「仕方ねえやつだな。次は気をつけろよ」と静かな口調で許してくれた。それが何よりの救いだった。
格闘技担当を離れ、今は芸能担当としてまったく違う畑で働いている。どんな運命の巡り合わせか、8月にはAKB48のプロレスイベントで、6年ぶりに後楽園ホールを訪れた。こぢんまりとした空間に響く、熱い声援を久々に聞き、高山さんのことを思い出していた。そんな矢先のニュースだった。
高山さんは04年、脳梗塞に倒れながら、2年後にリングに戻ってきた。まるで不死鳥のようだった。人間山脈のように大きくて、鉄の塊のように強くて、どんな敵も、病魔にも負けなかった高山さんだ。今度だって、起き上がれるようになって、立ち上がれるようになって、いつかリングに戻ってきてくれるに違いない。あの日、あのエルボーを受けたからこそ、そう信じられる。高山さんの病状が少しでも快方に向かうことを、全身全霊で祈りたい。記者ではなく、人として。
引用記事:日刊スポーツ
この記事、本当に素晴らしいですね。
今時代、素人に対して手を出せば瞬く間にトップニュースになってしますが、言葉ではなく、手を挙げて「うるせえな!」と気持ちを表現した高山善廣の行動は当時のことをファンとして考えてもぐっと来てしまう。
頸椎完全損傷から現状で回復の見込みがないことが、DDTプロレスが開いた会見で明らかになってから続報はない。
ただ、これだけ多くの方が支援に回ってくれていることを考えると、高山善廣の人間力・人脈は相当なものに違いない。
こんな話をこの記事で書いていいものなのか分からないが、ダウンタウンの松本人志が今の夢について語っていたのを思い出した。
それは、自分が生きているうちに人脈を広げること。
そして、その人脈の広さを1人娘から見てほしい。
「お父さん、こんなに凄いんだよ・・・」
高山善廣に対する支援者がたくさんいることを目の当たりにすると、人脈・人間力だけを捉えると多少、重なる部分がある。
ただ、回復を祈るのみ。
頑張ってください。
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